高校部(東進)
フグについてのお話③
こんにちは、東進日野校の坂井です。
今日も前回に引き続きフグのお話をします。今回でフグの話題は最終回です。
前回、フグ毒は生物濃縮によってフグの体内に蓄積されていて、孵化したての個体は無毒である、というお話をしました。
TTXを作る微生物を始点にして生物濃縮されているのなら、そのような微生物のいない環境でフグを孵化させて飼育するとどうなるでしょうか?
結論を言ってしまうと、内臓にも、皮膚にも、筋肉にも、血液すべてが無毒の、完全無毒個体が出来上がります。
つまり普通なら有毒な部位であっても、毒を気にすることなく食べることが出来ます。
これを利用した産業があります。
栃木県那珂川町では、海はありませんが豊富な温泉水資源を利用し、完全無毒トラフグの陸上養殖をしています。通称「温泉フグ」と呼ばれています。温泉フグを開発した大学教授の話を聞いたことがありますが、天然物と比べても勝るとも劣らずなかなか美味しい、とおっしゃっていました。普通なら食べられない肝も食べられるし、とも。
特にこれといった名産品も少ない地域で、思いもよらない新たな産業を生み出すことができ、地域活性につなげられる、これは科学の大きな存在意義の1つだと思います。
ぜひ、好奇心をもって科学に向き合ってみてください。もしかすると、新しい夢や人生の選択支が見つかるかもしれませんよ。
大げさですかねw
では、フグのお話はこの辺で終わりにしましょう。なかなか夢のあるお話だったと思うのですが、いかがだったでしょうか。