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海に沈んでブックブック①
こんにちは、高幡教室の土井です。
夏休みになると、読書感想文という課題が出された思い出があります。
あの課題ってなんなのでしょうかね、「正直、よくわからんでした」とか書こうものなら怒られそうだし、表彰されてるやつって精神年齢何歳ですかっていうすごいレベルの文章じゃないですか、人生偏差値高そう。
未だにあの課題の意図がわかりません……今も出されているのかな。
そんなことを考えつつ、せっかく国語の先生やってるし、何冊かオススメの本を紹介したいと思います。
今回のテーマは【出てくる飯がうまそう】。
●まはら三桃(2014)『伝説のエンドーくん』 小学館
歴史ある学校にやたらめったらある「エンド―くん」という落書きにまつわる物語。個人的には子どもだけではなく、教育業に携わる大人や、今まさに教師になりたくて勉強している大学生にも読んでほしい。いや、むしろ読め、今すぐ読むんだ。『二十四の瞳』もいいのだけれども。
思春期の子どもが抱える心と芸術がテーマの章が素敵な内容です。わたしも児玉先生にパンの差し入れをいただきながら、まったりお話ししたい。
ラストのページがやばいです、鼻の奥がツンツンします。
●吉本ばなな(1988)『キッチン』 福武書店など
中高生には『TUGUMI』をおすすめしているのをよく見かけますが、わたしは断固として『キッチン』推し。もう作品名通り、出てくる食べ物がいい、この本を読んでかつ丼が好きになったといっても過言ではない。夜中に冷蔵庫の横に座り込んでぼんやりしたい心持ちになる一冊。夜中に缶コーヒーを握りしめながら海岸を歩きたい。分かる人には分かる。
あとは、バナナ柄のコップが出てくるシーンでちょっとテンションが上がったのはわたしだけではないと信じたい。
家族とのつながりも意識するような内容になっています。バスのシーンはやばい。夢の中での床掃除の場面もあなどれない。夜中のラーメン最高。
これは万人にオススメの本です。
●帚木蓬生(2009)『水神』 新潮社
江戸時代の九州地方を舞台とした、水をめぐるお話。江戸時代の政治のしくみや、水田耕作についての知識を持っているとより親しみやすい。さらに漢文・古文が好きな人は200%楽しめると思います。何気なく当時の人達の生活の細かい道具や作法が出てきて非常にわくわくする。
中身としては、治水という大きな事業に立ち向かう名も無き人々を中心に、それを支えようとするリーダー達の熱い思いに感動します。「題名の『水神』とはこの人のことだったのか…!!!」ととても胸熱になりました。
あととにかく主人公がうまそうに飯を食う、これが素敵。
上下巻で長いので、高校生向きかもしれない。
↑漢字検定1級・準1級をもつ人達おすすめの本だと、同じ帚木蓬生さんの『国銅』が挙げられているんですよねぇ…。こちらは奈良時代の大仏建立のお話ですが、読後に幸せになれるのは断然『水神』の方だとわたしは感じました……。好みの問題だろうか。