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迷うモノクロ②
こんにちは、高幡教室の土井です。
迷子になりながらたどり着いた世田谷美術館ですが、展示を見に行く前にヘロヘロになった体を癒すがため、真っ先に館内にある喫茶店に行きました。
美術館のHPを見ていた時点で、ここのタルトを食べるって決めてたんだ。
洋梨のタルト。
タルト生地がしっかりしていて、おいしかった。
高校生の頃はよくケーキを焼いたりしていたのだけど、それを思い出す素朴なおいしさでした。
大人になる過程で、いろいろなものを失ってきたんだなぁ。
今回見たのは『奈良原一高のスペイン-約束の旅』。
モノクロの写真の展示ですが、写真ってすごいですね。
ヨーロッパの陰影や情熱的な荒々しさや、人間味がじわじわと出てくるような表現が多く。
カラーではないからこそ、訴えかけられるものもあるのかなぁと思いました。
民族衣装的なものではものすごく古いように思えるのに、街並みや騒ぐ若者の姿は「ついさっき」を撮ったかのような、不思議な感覚を得られます。
1960年代の写真が多いので、古いは古いのですが。
最後の部屋の婦人公論の表紙シリーズもなかなかになかなか、昭和感がものすごくて。
戦後の日本の、妙に明るくはじけたカラー写真って見るとドギマギしてしまう。
二重三重の意味で懐かしい、花柄のホーロー鍋のイメージ。
さっきまでの部屋と全く雰囲気が異なるので、びっくりします。
写真って難しい気がして、唯一知っている写真家はマリオ・ジャコメッリだけだったのですが、今回の展示を見ながら写真の展示もなかなかいいと思いました。
これは余談ですが、2年前にコンビニで「あ!!ジャコメッリ展!!チケット光速で買うわ!!!」と興奮しながら買った美術館の前売り券が、マリオ・ジャコメッリの展示ではなくて彫刻家のアントニオ・ジャコメッティ展だったこともあり……。
美術館のHPを見て膝から崩れ落ちました。
名前が一文字違うだけで作風も何もかも全然違うもんだ(当たり前)と泣きながら展示会場に向かいましたが、ジャコメッティ展、素晴らしかった。
自分が興味ないことも案外食わず嫌いをやめて見てみると、素敵な出会いがあったりするもんです。
というか自分自身の貴重な経験のほとんどが、ぼーっとしてた・勘違いしていた・道に迷った、そういうネガティブな現象を始点として出会えたものだということに気がついた。
どこかしんどい瞬間も、のちのちの大きな喜びの踏み台なのかもしれないと思うことができるのならば、もう少し生きやすくなるのかもしれない。
ならないのかもしれない。はたして。