コラム
「っす」
以前から気になっていたんだけど、あの若い人がよく使う「っす。」という言葉。
「いいっすね。」「うまいっす。」とか言う、あれ。
話し言葉だから、この程度の“乱れ”はいいか、と思っていたけど、
話はここで収まらないらしい。
正式の日本語として定着するかもしれないんだって⁈
「マジっすか?」
7月26日の読売新聞に、この話題で興味深い書評があったので、共有しよう。
長くなるけど、ぜひ読んで。(2020.7.26 読売新聞・書評)
「そうっすね。おもしろいっす」のように、言葉の最後に「っす」をつける言い方が、ここ何十年かで、とくに若い世代に広まりました。著者はこの形を「ス体」と呼び、本書まるまる一冊を費やして論じています。
国語辞典的に言えば、「っす」は俗に「です」を縮めた言い方にすぎません。ところが、著者と一緒に実際の会話を観察してみると、この「ス体」は、日本語の敬語の欠点を補うものだということが分かります。
普通、目上に対しては「ですます体」(丁寧語)を使います。ただ、この言い方は、敬意は表せるけど、相手を遠ざけてしまう欠点があります。先輩に「そうですね」はよそよそしい。一方、「そうっすね」と「ス体」を使うと、敬意と親しみの両方が表現できるのです。
「ス体」は便利なので、一般の敬語に取り入れてもよさそうです。ところが、ネット掲示板に<「っす」は丁寧語っすよね>と書き込んだある人は、多くの閲覧者から猛烈な批判を受けたそうです。内輪の世界では丁寧体として機能する「ス体」も、外の世界(掲示板など)では、その機能が認められなかったのです。
かといって、「ス体」は内輪の世界の敬語にとどまっていません。著者はテレビCMを観察し、「ス体」に敬意表現以外の意味づけがなされていることを指摘します。<まじかんべんっすよ>と軽いノリで言う男性、<今日も充実っす>と勢いよく楽しそうに言う女性など、「ス体」表現はこれまでとは違う新しい男性像、女性像の表現に用いられています。
思えば、「です」という語尾も、江戸時代は遊里で使われた俗語でした。それが、近代には丁寧表現を担うようになり、知性的で洗練された印象と結びつきました。「っす」も、今はあまり重要視されていませんが、いずれ将来の日本語を担うことになるかもしれない。著者はそう示唆しているような気がします。
志學舎の先生。 生徒に「敬語」「丁寧語」の説明する時、この「っす」言葉に触れると、また印象深いかも。話題にしてください。
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