コラム
父との思い出(前編)
こんにちは。志學舎本部の岩田です。
40歳を過ぎたころ、そろそろ何か運動をしないと、と思案していた時に、ふと目に入ってきたのが「登山教室」という文言。あるツアー会社のホームページで見て、説明会に足を運ぶと、毎月1回ずつ登山ガイドさんにいろいろと教えてもらいながら近郊の日帰り登山をトレーニングとして続けていって、翌年の夏には山小屋に宿泊する本格登山までステップアップしていくというもの。これなら無理なくできそうだ、と思って参加することにしました。それから登山の魅力に取りつかれてしまって、前回ご紹介した日本の標高トップ5を踏破したり、雪山登山に挑戦したり、と世界が広がっていきました。
しかし、実は、登山はこれが初めてではありませんでした。
中学2年のお盆休みに、父が私を2泊3日の山小屋泊の登山に誘ったことがありました。小さいころは高尾山など日帰りで近くの山に連れて行ってくれたことは何度かありましたが、宿泊を伴う本格登山はこれが初めて。父は学生時代から登山に親しみ、後年、日本百名山全山踏破を達成するほどの山男でした。その父が、中学生になって体力もある程度しっかりしてきた私を登山に誘ったのです。あまり深く考えずに「いいよ」と返事をして一緒に行くことにしました。
行く先は日本の標高第5位の槍ヶ岳。長野県の中房(なかぶさ)温泉から入って、燕岳(つばくろだけ2,773m)、大天井岳(おてんしょうだけ:2,922m)を通って槍ヶ岳(やりがたけ:3,180m)、帰りは上高地(かみこうち)に至る通称「表銀座コース縦走路」。改めて今になって調べてみると、全長35km超、累積標高差は上りも下りも3,000m超。とても初心者が行くようなコースではありません。しかし、燕岳に上がってからの稜線歩きではずっと槍ヶ岳が望める登山者には人気の大パノラマコース。父は登山の醍醐味を私に教えたかったのだと思います。
<表銀座コース縦走路の高低差>
1日目の上り始めは、ゆっくりと歩む父を背にどんどんと先に上っていき、少し先で父を待つほどの余裕でした。さらに歩いていると、すぐ目の前の砂地で、特別天然記念物に指定されている雷鳥(らいちょう)の親子が、人を怖がる様子もなく無邪気に砂浴びをする光景も目にして、気分はすっかりハイテンションに。つらい登りを終えて、稜線についてから眺めた槍ヶ岳の山並みの絶景にも大感動。足取りも軽やかにどんどん先に進みました。
(次回に続く。)
<表銀座縦走路から遠くに槍ヶ岳を望む大パノラマ(2013年撮影)>
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