高校部(東進)
法学部紹介③ ~学校支給の自分のパソコンを学校で充電したら罪になる?~
こんにちは。東進衛星予備校西八王子南口校の大塚です。
今回は“法学部“の紹介、第三回目になります。
前回の、「学校から支給された自分のパソコンを学校で充電することもダメなのか?」の続きになります。
〜学校の電源を使用するのは犯罪??その2〜
窃盗罪が成立するためには、「他人の」「財物」を「窃取」したという事実の他にも、“不法領得の意思“という超法規的な要素が必要であるとされています(裁判所の見解によれば)。
この要素は、罰することができない使用窃盗(=例えば、横の人の教科書を一時的に無言で使う、など)と罰すべき窃盗罪を区別するために必要な要素で、具体的に、権利者を排除して本権者として振る舞う意思(=本件では学校の電源をあたかも自分所有のように意思)のことであると解されています。
このことをより簡単に言い換えると、その窃取行為自体が「適切な」ものと言えるか、ということです。上のように一時的に横の人の教科書を無断で使うとしても、それはいずれ返されるものであり、誰かに不利益を与えるようなものではありません。同様に学校支給のパソコンであれば、これを充電したとしても、それは学校での学びに使われるためには必要な行為であり、確かに「他人の財物を窃取」しているとしてもそれは罪として罰すべきではない、ということになります。
一方、自らの携帯電話を、ゲームをしたり友人と連絡を取るために、電源を自分所有かのように充電することは、もはや本来学校が電源を設置している意義を無に帰せしめ、まさにこれは「適切ではない」行為といえ、したがって窃盗罪が成立することとなります。
このように、法律学の主な学びは、条文をただ知ることにとどまらず、条文の解釈論や条文を超えた要素の存在(法律用語では、「論点」と言います)を知り、それを現実的な事例に当てはめて応用することにあります。一見罪に問われそうなことでも、実は罪に問われない、なんてことは解釈次第ではザラにあるのです。
法律を学ぶことで、法律の知識のみならず、法的知識に基づいた客観的思考力や、物事を俯瞰的に捉えられる能力が身につくと考えます。
私の周りの法学部生も、法律家を目指していない人がほとんどです。少しでも法律や今回触れなかった政治に興味がある方は、ぜひ一度法学部での学びを検討してみてはいかがでしょうか?