高校部(東進)
政治学について③~比例代表制~
こんにちは。東進西八王子南口校の中村です。
四回にわたり大学で学ぶ「政治学」についてお送りしていますが、第三回の今回は「比例代表制とは何か」について書いていきたいと思います。
これまでのブログ
政治学について①~イントロダクション~
政治学について②~小選挙区制~
~比例代表制~
比例代表制とは、各政党が獲得した票に比例して議席を配分する制度です。
これだけだと分からないので、具体的な例を見てみましょう。
ある選挙にてA党、B党、C党の三党があったとします。
それぞれの政党の得票数は10000票、6000票、3000票とします。
日本では、「ドント式」と呼ばれる議席配分方法を使って計算をしていきます。
その計算方法は、それぞれの得票数を÷1、÷2、÷3…というように割っていって、割った数字が大きい順から議席数を振っていくと言いう形になります。
図式化すると
このようになります。
ここでこの選挙区の議員定数を7とすると、割った数が大きい順に議席数を配分していくので、各党に割り振られる議席数はA党は4議席、B党は2議席、C党は1議席という結果になります。
各政党は、選挙前に「選挙人名簿」と呼ばれるものを作っており、議員に順位が振られています。
選挙が終了し、各政党に割り振られる議席数が決まると、その選挙人名簿の順位が高い順から議員として選出されます。
これが比例代表制の選出の仕方になります。
比例代表制は小選挙区に比べ、得票率と議席獲得率が近づきやすい選挙制度となっています。
それでは、小選挙区制のブログでも見たように、比例代表制のメリット・デメリットについても見ていきたいと思います。
メリット
①:少数意見が国政にきちんと反映される
→小選挙区制では少数派は意見が反映されにくい傾向にあったが、比例代表であれば当選する可能性がある。
②:地域によって政策の差異が少ない
→小選挙区制は個人に投票するが、比例代表制は政党に投票するため、ほかの地域の同じ党の議員でも政策の差異が少なくなる傾向にある。
デメリット
①:選挙費用がかさむ
→小選挙区制に比べ、候補者は広い地域を回って選挙活動をしなければならず、また同じ選挙区で何人もの候補者の擁立をしなければならないため。
②:政策がわかりにくい
→小選挙区制と違い政党に投票するため、どの候補まで当選するのかが分からず、当選後の政策が見えにくい。
以上のようなメリット・デメリットがあります。
前回のブログでも触れたように、日本の衆議院では1994年からこの比例代表制が一部導入されることになりました。
当時政権を握っていたのは細川政権という「連立政権」であったという影響が現れていると言えるでしょう。
日本の衆院選は、前回のブログで見た小選挙区制と今回の比例代表制を組み合わせたものになっているため、「小選挙区比例代表並立制」と呼ばれています。
ではなぜ、衆院選ではどちらの制度も採用しているのでしょうか。
まとめと共に、最終回で見ていきたいと思います。