高校部(東進)
政治学について④~まとめ~
こんにちは。東進衛星予備校西八王子南口校の中村です。
早いもので政治学をテーマにしたレポートも最終回になりました。
ここまで読んでくださった方々、ありがとうございます。
これまでのブログ
政治学について①~イントロダクション~
政治学について②~小選挙区制~
政治学について③~比例代表制~
最終回の今日は、「衆院選が小選挙区比例代表並立制を導入した理由」「今の日本の選挙の課題」の二つをテーマにお送りしていきたいと思います。
・衆院選にて小選挙区比例代表並立制が導入されたのはなぜ?
政治学について①~③で見てきたように、衆議院選挙の小選挙区比例代表並立制は1994年の細川内閣による選挙制度改革によって導入がされました。
いったいなぜなのでしょうか。
これは、戦後日本の国会の勢力関係が大きく影響していると言えます。
1955年に右派社会党と左派社会党が合流し社会党が誕生したことにより、日本民主党と自由党が合流をして自由民主党が誕生しました。この際に、保守政党である自由民主党が第一政党となり、55年体制と呼ばれる一党優位の状態が続いていました。
しかし、リクルート事件や佐川急便事件といった、長期における一党優位状態の弊害が露呈し始め、自民党からの議員離脱、内閣不信任決議の採択が発生しました。
それに伴って行われた1993年の衆院選で、細川内閣が誕生。55年体制が崩れるきっかけとなりました。
この細川政権が誕生するまでは、日本の衆院選における選挙制度は「小選挙区制」のみでした。つまり、死票が多く存在し、少数派の意見があまり国会に反映されない状態だったのです。
こうした一党優位が発生してしまうような状況を打破し、小選挙区の良いところを残しつつ、比例代表のメリットである国民の少数派の民意を国会に反映することを目的として、小選挙区比例代表並立制が導入されました。
これが、小選挙区比例代表並立制が導入された理由となります。
・今の日本の選挙の課題
少数派の民意を国会に反映する目的で導入された小選挙区比例代表並立制。
しかし、これによってすべての問題が解決したわけではありません。
現在の日本の選挙の大きな課題として挙げられるのは、「一票の格差」といえます。
一票の格差とは、同一の選挙の選挙区間で有権者数あるいは人口数が異なっていることで1票の価値あるいは選挙区民一人ひとりの価値が異なっている問題(Wikipediaより引用)です。
これだけだと分かりにくいので、一つ例をあげてみましょう。
それぞれ10人の有権者がいるα選挙区と、100人の有権者がいるβ選挙区。ここではどちらも定員が1人だと仮定します。
α選挙区では5票を獲得しAさんが当選。β選挙区では50票を獲得しDさんが当選したとします。
そして、それぞれの当選者の他に、α選挙区では4票獲得したBさんと1票獲得したCさん、β選挙区では30票を獲得したEさんと20票を獲得したFさんがいるとします。
ここで、α選挙区ではAさんの票がBさんに2票流れ、β選挙区でDさんの票がEさんに2票流れたと仮定しましょう。
すると、α選挙区ではAさんに代わりBさんが当選しますが、β選挙区ではDさんの当選は変わりません。
つまり、同じ数の票が動いたのにも拘らず、α選挙区では選挙結果が変わってしまったということが起こります。
よって、「一票の価値がα選挙区では重く、β選挙区では軽い」ということがここからわかります。
これが最近問題になっている一票の格差の問題になります。
この格差を是正するために、様々な取り組みが行われています。
ニュースなどで「0増5減」などという言葉を聞いたことがある人もいると思いますが、それはこの一票の格差を是正するために行われる政策の一つです。
また、詳細は割愛しますが、最近はアダムズ方式と呼ばれる議席配分法を使い、この格差を是正しようとの動きも出てきています。
・全体のまとめ
ここまで四回にわたって、「大学で学ぶ政治学」を大テーマにお送りしてきました。
そのなかで、皆さんにかなり身近であろう「選挙」を取り上げてブログを書いてきました。
以前他校のブログで書かせていただいた「囚人のジレンマ」もかなり難しい内容でしたが、今回の内容も多少難解な部分があったと思います。
正直、政治はとても難しい学問です。扱うテーマがかなりデリケートなこともあります。
しかし、現代社会がどのように動いているのかを考えることはとても興味深いですし、自分の属する社会・国家をより良くするためにも必要なものだと思います。
政治学についてのブログはこれで終わりになりますが、四回を通して皆さんが政治について少しでも興味を持ってくれたらうれしいです!
ありがとうございました!