こんにちは。東進衛星予備校日野豊田校の細川です。
めっきり寒くなって参りました。皆さんいかがお過ごしでしょうか。

 

さて、今回はタイトルの通り(少なくとも当方が思うに)進みつつある
大学入試に於ける数学必修化の潮流に関して、
①今現在何が起こっているのか、②私の所感 という二つの内容から
お話させていただければと存じます。

 

まず①に関して。
2018年の6月7日、早稲田大学政治経済学部が2021年度以降の入試に関して幾つかの変更点を示しました。その中で衝撃的だったのが(学校や塾,予備校をはじめとする各種教育機関がその主体ですが)、一般入試での大学入学共通テストの必須科目に数学Ⅰ・Aを定めるという決定でした。
卒爾な声明でしたのでまさに青天の霹靂といったところだったのでしょう。今でもそうですが、法学部や社会科学部など他の文系学部の一般入試では数学を選択せずとも受験が可能ですので、大学全体で軌を一にして数学を必修化した訳ではありません。だからこそ議論が紛糾したのでしょう。。。ともあれ、数Ⅰ・Aの（大学側が圧縮して設定した）点数は外国語や国語のそれと同一ですので、ただ必修化しただけではなくそれを他科目と同一の比重で設定したことになります。その後政治経済学部独自の入試が加わるなどして今に至るわけですが、早稲田大学のHPから公式の発表を閲覧可能ですので、そのURLを示しておきます（https://www.waseda.jp/fpse/pse/news/2020/03/31/11687/）。

 

さて、続いて②です。
早稲田大学側から当該決定に関する過程や思想ついて仔細な説明が公式に為されているわけではなさそうですので、その真意を完璧には図りかねますが、インターネットにあった記事の当時の政治経済学部学長の言葉から諸々を考えていこうと思います(逐一その言葉を引用する訳ではありませんが)。
政治経済学部という学部の特質上、大学に入ってから数学が必要なのはほぼ自明でしょう（経済学は露骨に微積の知識が必要ですし、政治学にしても統計を取るならばデータ分析の必要性が生じます）。そう考えると今迄数学が必修化されてなかったのが何でなのかと思う節もありますが、故なき数学必修化でないことは納得頂けるかと思います。問題は必修化したのが数Ⅰ・Aだったことです。
数Ⅰ・Aは確かにデータの分析や集合と論証と言った理論系を扱いますが、経済学部入学後必須の微積は数Ⅱ・Bの範囲ですので。そこに関連して何で数Ⅱ・Bを必修化しないんだと経済学部系の教授が憤怒したとの話もありました。

 

然るに政治学部系の教授は数Ⅱ・Bの範囲は不要だろうと判断したのか、Ⅰ・A必修化で妥協した（そもそも数学必修化に難色を呈した層も居たらしいですが）のだと評されていました。
この経緯を見るに、数学必修化の波が即座に他大学の文系学部に広がる訳ではなさそうだなと当方は感じました。政治経済学部という特殊性が生み出した案件であると考えるならば、単体の経済学部で数学必修化の議論が起こったとしても、反対層(アンチテーゼ)としての教授陣(他分野専攻の)が現れて論議が為されない限り生産的な妥結がされるとは思えないからです。賛成派だけでも荏苒(じんぜん)とするだけでしょうし、反対派だけならそもそも問題提起すらされません。

 

最後は何やら堅苦しい話になりましたが、「多様な思考を持つ集団では議論が巻き起こり、どんな形であれ解決まで進む可能性が高い」という見解に基づいて話させて頂きました。それ故に数学必修化は短兵急には進まないだろう、と。ともあれ、学生の立場からすれば、本気で入りたい大学の入試科目が変更されたなら自分もそれに対応するだけだと思いますので、無批判的になるなとは言いませんが大学の方針に従って勉強するだけだとも思っています。

 

皆さんも数学を万人が学ぶべきなのか、或いは他の科目に関してはどうなのか、一度考えてみて下さい。閲覧誠に有難うございました。

 

 

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