こんにちは。東進高幡不動校の積です。

 

前回から間があいてしまいました。すみません。

西洋音楽史で価値観の歴史をたどろう！①

 

 

今回から、いよいよ本題です。まずは今日の見出し。

 

バロック時代　＜１７世紀〜１８世紀半＞
〜この世は平等でない！「対比」の時代〜

 

突然ですが、皆さんはこの絵画をご存知ですか？

レオナルド・ダ・ヴィンチ＜1452-1519＞という画家の「最後の晩餐」という作品です。『ダヴィンチコード』という映画でも話題になりましたね。

 

この絵画、今日からみていく「バロック時代」の前時代である「ルネサンス」という時代の作品です。

 

ルネサンスについて掘り下げると、永遠にバロック時代に入れない気がするので、興味のある方は調べて欲しいのですが、このルネサンスの美意識の特徴として「調和・均衡」があります。

 

上の絵画をご覧ください。

 

①絵画の構図
綺麗に左右対象なのがわかりますか？イエス・キリストを中心に、人物が取り囲むように配置されています。

 

②遠近感
背景と人物では一応違いがありますが、人物の大きさもほぼ同じで平等です。

 

③光の当たり方
そして、人々に当たる光の量（顔や肌の明るさ）も、ほぼ平等なんですね。影がないわけではないのですが、みんなある程度、明るい照明のある部屋にいるような明るさです。

 

ここまでを、一旦まとめますね。

しかし！バロック時代の絵画を見てみましょう。（いつ音楽の話が始まるんだ！？音楽史ではなかったのか！？と思ったそこのあなた、鋭いですね！！！しかし、美意識そしてそこの源泉となる「価値観」の話をするのに、初めは絵画で説明させてもらうのが、目に見えてわかりやすいので、今日は許してください…！）

 

では、バロック時代、ヨーロッパにいろんな意味で激震をもたらした巨匠（殺人を犯すなど、かなり破天荒な人生を送っています）、カラヴァッジョ＜1571-1610＞の作品をご覧ください。

 

多少インパクトのある絵画が表示されますよ。心の準備はいいですか？

ちょっとびっくりしませんか？私だけでしょうか？ルネサンスとバロックでは絵画の構造ががらっっっっと変わるわけです。

 

この作品は、カラヴァッジョの名作「キリストの埋葬」です。キリストが磔になった十字架から下ろされて、今まさに埋葬されんとされている瞬間の絵画です。この臨場感！！！この臨場感にびびっときた方は、ぜひカラヴァッジョでぐぐってみてください。いろんな意味で刺激的な絵に沢山出会えます。

 

では少し要素を分解しましょう。

 

①絵画の構図
全く左右対象ではないですね。主役であるキリストが、ここまで運んできたと思われる人たちの腕の中からこぼれ落ちそうになっています。そして、周りで悲しんでいるのか、絶望しているのか、両手をあげて天を仰いでいる女性もいますが、みんなキリストを斜めに見下ろすような位置にいますね。

 

②遠近感
バロックの美意識にそのまま直結するところなのですが、ルネサンスの絵画と比べると、前後の立体感が肉眼で見た時のように、もしかしたらそれ以上に？表現されていますね。人物の前後の描き分けはもちろん、登場人物が立っている木の板も。奥からぐっとこちら側にせり出しています。あらゆるのの同士の遠近感が強調されています。

 

③光の当たり方
遠近感と同じくバロックの美意識に欠かせない要素が、光と影です。ルネサンスの絵画では、なんとなく全員に平等に光が当たっていましたが、どうでしょう。キリストの青白い肌と、その上にかざされた人物の手の平の色。同じ人間の肌ですが、全く異なる色彩で描かれています。

 

そろそろ、バロック時代の美意識がなんなのか、気になってきましたか？気になってきたなら、ここまで絵画の比較をしてきた甲斐があります！

 

なんとなく、「こんな感じかな〜」と予想されている方もいるかもしれませんが、バロックの美意識は、ずばり「対比・不均衡」です。ある要素とある要素を比べる。そこに美しさ、面白さがある。それを人々が発見した時代なのです。

 

なぜ？の部分はまた次回。とにかく！やっと今日のブログタイトルにたどり着きましたね。

 

バロック時代は「対比」の時代です。

 

では、ここまでを一旦まとめましょう。

右側は「光の魔術師」の異名をもつレンブラントの「ニコラース・テュルプ博士の解剖学講義です。格要素の特徴は、カラヴァッジョの作品と共通点があります。

 

おさらいとして、ルネサンスとバロックを並べてみてみましょう。

長くなってしまったので、今日はこの辺で。
全く音楽の話に入れませんでした。今日は「美意識」という言葉を沢山使いましたが、美意識の源泉になっているのが「価値観」です。「○○のような価値観があるから、△△のような美意識が生まれる」という感じでしょうか。

 

次回もお楽しみに！

 

＜今日の一曲＞
・H.エックレス　ソナタト短調
音程の「対比」が魅力的なバロック時代の曲です。泣かせる旋律！

 

 

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