コラム
志學舎保護者会⑯~教育誌から~
◇保護者の皆さんは、お子さんにどんな期待を持っていますか。例えば、お子さんが小学生なら、算数や国語は多少は出来てほしい!中学生になると今度は、英語や数学が出来るようになってほしい、具体的には、試験で平均点以上の得点は少なくとも取ってほしいし、100点とは言わなくても出来れば80点は取ってほしい…と密かに思っていたりしますよね。
◇そういう期待感を私は、「暗黙の理想」と言うことにしているのですが、その「暗黙の理想」が強ければ強いほど、子どもの結果や過程をその「暗黙の理想」を基準に評価しがちになるものです。そうすると、なかなか子どもの結果や過程をプラスに受け止めることができないようになります。
◇例えば、中学生の定期テスト(中間テストや期末テスト)の勉強時間を考えてみましょう。
保護者の皆さんは、定期テスト1週間前に、お子さんにどれだけ自宅で勉強してほしいでしょうか。
私が数十年間で保護者の方とお話しする中で調査した結果、一日3時間という答えが平均的でした。
しかし、この3時間には全く論拠はありません。3時間勉強したからといって、絶対にテストでいい点が取れるというものではありません。保護者の方は、なんとなく3時間ぐらいやれば、きっとテストも出来るだろうと思っていたのです。こういう思いが、「暗黙の理想」です。
◇テスト前に自宅で3時間勉強してほしいと親が思っていると、この3時間が子どもを評価する基準になってしまうのです。ですから、普段は家庭学習などしない子どもが、テスト前に30分勉強したとすると、本来ならば、頑張って勉強したのだから、認められてしかるべきところを、3時間と言う「暗黙の理想」でその30分を評価してしまうと、まだまだ全然やったことにはならない、そういう評価になって、子どもにマイナスのアプローチをしてしまいがちになります。
◇「暗黙の理想」を無意識の内に持って子どもを見ていくと、子どもの努力を素直に評価できないようになってしまうのです。「暗黙の理想」には、何の論拠もない場合が多いものです。ですから、子どものやる気を引き出そうと思うのであれば、「暗黙の理想」をちょっと端において、子どもの現状から子どもの努力や行動を評価していくようにしてください。
◇子どもの努力を評価する時の鉄則は、子どもの現状を基準にして評価するということです。「昨日の子どもの行動」を基準に「今日の子どもの行動」を評価することです。「昨日の子どもの行動」より「今日の子どもの行動」が成長していたら、プラスの評価を、マイナスになっていたら、マイナスの評価をすれば良いのです。
志學舎の先生達、
生徒を見る時、
「暗黙の理想を捨てて、現状を基準にして評価する」
これ、大切なことだよね。
このことを踏まえて、しっかり対応していこう。
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