コラム
梅花の候
拝啓 梅花の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。
このように、手紙文を書く時には、最初に「時候の挨拶」から始めます。2月は文字通り「梅の花が咲くころ」ということで「梅花の候(ばいかのこう)」。ほかにも「立春の候」、「向春の候」、「春寒の候」など、2月に用いる時候の挨拶はありますが、やはり「梅花の候」がしっくりくる感じがします。
今でこそ、たとえば「お花見」といえばやはり「桜」ですね。つまり「花」といえば「桜」。しかし、奈良時代、「花」といえば「梅」。同時代の「万葉集」においても「桜」よりも「梅」を詠んだ歌のほうが多かったとか。古来、中国では「花」といえば香り高い「梅」を指したそうで、遣唐使の時代、中国からの影響を強く受けていたこの時代の日本の貴族たちも、中国に倣(なら)って梅の花の歌を多く詠んだそうです。
その中に、
「初春(しょしゅん)の令月(れいげつ)にして 気淑(よ)く風和(やわら)ぎ 梅は鏡前(きょうぜん)の粉(こ)を披(ひら)き 蘭(らん)は珮後(はいご)の香(こう)を薫(かおら)す」
という歌が。聞いたことがありますか? そう、この歌が「令和」の元号の由来となったのです。
<現代語訳(中西進著『万葉集』から)>
時あたかも新春の好き月、空気は美しく風はやわらかに、梅は美女の鏡の前に装う白粉のごとく白く咲き、蘭は身を飾った香の如きかおりをただよわせている。
では、いつごろから、日本で「花」といえば「桜」になっていったのか。その大きなきっかけになったとされるのが。。。つづきはまた次の機会に。
春とは言え、厳しい寒さが続きます。どうぞお体を大切に。
令和3年2月吉日
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