高校部(東進)
法定外目的税とは;その意義と課題 -富士山入山税を事例に- 其の弐
こんにちは、東進衛星予備校日野豊田校の細川です。
前回迄の内容↑で、法定外目的税とは何なのか・富士山入山者向けに法定外目的税を課そうとしているが…という所まで話しました。今回はその問題点について扱おうと思います。尚余りに学術的に立ち入った内容になりますと皆様も億劫になるでしょうし説明も大変になりますので、新聞レベルの扱いに留めようと思います。当該分野を詳しく扱いたいな、と思った方は大学で法学や地方自治を専攻してみることをお勧めします。
最初に入山料の法定外目的税徴収の具体的方策に軽く触れると、五合目以上に行こうとする登山者に対して諸々のレクチャーの受講を入山条件とし、その手数料に上乗せする形で徴収することを想定しているとのこと(https://www.sankei.com/politics/news/210315/plt2103150019-n1.html, 富士山入山料、「条件」課し税徴収 事前予約などの手数料に上乗せ想定 – 産経ニュース, 2021年3月15日, 最終閲覧2021年4月10日)。納税者からすると特別にどこかに出向いて税を収めることが無いので手数料に上乗せして貰うのは納税方法としては有り難いでしょう。ただ行政側からすれば徴収のために事務経費は当然発生する訳で、そこが課題になってきます。
次に経済学上の前提に鑑みた議論ですが、”受益者負担”という言葉があります。何かしらの料金(大体対象は税金ですが)を払うのは、それを払うことによって結果利益を得る人間であるべきという話です。今回の税の徴収方法では、この受益者負担の大原則が守られないではないか、という強い反論があるのです。五合目以上を登る人がいる一方で、当然五合目より先には登らずに引き返す(そもそも登頂が目的ではないケースも多いでしょう)人も居ます。五合目以上を登った人から徴収した税金をどこに使うかと言えば、富士山全体の整備です。従って、四合目までの登山道で廃れている部分などがあればその修繕に当然のように使われるわけです。
そうなりますと四合目までしか登らない人も、五合目以上に登った人が支払った税金の利益を受ける訳です。「我々は別に税金納めてないけど道が整備された、ラッキー!」となると。これは、五合目以上に登った人からすれば不服でしょう。何故ならば自分たちが払った税金で自分たちが利益を受けるのは当然の恩恵としても、税金払ってない人達も良い思いを同様にしているからです(支払いせず他人の利益にタダ乗りするという意味で、フリーライダーと呼ばれます)。こうなるとマズイので、まずは登山者全員から一律に入山料を納付してもらい、それから五合目以上の登山者対象に別箇徴収しようではないかという二段階論が出てきているとのこと(https://www.sankei.com/premium/news/210403/prm2104030005-n2.html, 【深層リポート】富士山に“入山税”導入へ 登山マナー向上へ講習義務化も(2/2ページ) – 産経ニュース, 2021年4月3日, 最終閲覧2021年4月10日)。
このように、税金一つ新しく新設するにも色々な障壁があるのです。加えて、今回は触れませんでしたが総務省の大臣に法定外目的税設置に際しては許可を得なければならない(前回の冒頭部分で軽く言及済み)ので、そこでも色々調整すべき内容が出てきます。税制運営って、本当に難しいですね。
以上です。閲覧頂き有難うございました。
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