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なんちゃって三十六景その5
こんにちは、志學舎豊田教室の土井です。
思いつきで葛飾北斎の富嶽三十六景を紹介するシリーズです。
作品として鑑賞する分には好きなのですが、「この作品は描きたくねぇよ…」と日をずるずると伸ばしてしまいました。
今回はそういう作品です。
富嶽三十六景も神奈川や静岡など富士山の近くをさまよっていましたが、今回は一気に東京へ飛びました。
「本所立川」(ほんじょたてかわ)
今も墨田区に立川(たてかわ)という地名がバッチリ残っていますが、木材を取り扱う問屋さんが多かったようです。
竪川(たてかわ)という川が東西に流れていて、それがそのまま地名になっているのですが…
東西に流れているので、北を上においている地図で考えると「横川じゃないんか~い」という名前です。
これは平安京の右京・左京案件と同じで、偉い人目線で考えると解決します。
江戸城から見て、お城を基準に縦に流れているから「たてかわ」だそうな。
バッチリ人が開削して作った人工河川で、舟運で活躍していたようです。
今の墨田区ですが、当時は木材問屋がたくさんあったようです。
立川という地名は今も残っていますし、名前の由来にもなっている竪川は現役の河川となっています。
さて、どうして描きたくねぇよ…となったかわかりますか?
とにかく直線祭りなのです。
ホワイトボードで、フリーハンドであんな精密な直線は無理があるよ北斎先生!
というわけで早々にあきらめました、無理です。
葛飾北斎は晩年にはコンパスなどの道具を用いて、構図を求めていたということで、今回の作品にはそれがよく表れています。
左側のジェンガみたいな木材の積み立てとか…(描かなかったけれど)
真ん中の鋸ひいているおじさん周辺は、あっちの向きこっちの向きの木材や竹材の直線が交差して、しかもその中心がちょっとずれているという演出、やばい。
右側に肝心の富士山が木材越しに見えているのもいやらしい演出です。
木材のちくちくした高さも、まるで音階のように構想が練りこまれています。
ずるい。
この作品の構図が完成したとき、北斎は絶対に「してやったり」の顔だったと思うんですよねぇ…。
富嶽三十六景って赤富士や波ザバーンが有名ですが、この作品も構図という意味ではそういうメイン作品にも負けない力を持っているように感じます。
それにしても「とにかく直線がめんどくせぇ」作品です。
富嶽三十六景はもちろん北斎の手による作品ですが、版画という性質上、もとの版木をゴリゴリ手作業で彫り込む手間が必ず入るわけです。
このまっすぐな線を彫り込んでいくっていうのは精密機械の組み立て並みに「イーーッ!!!」ってなりそうですね。
こういった精密な芸術作品が創作できたというのも、江戸という時代性が大きいのだろうなぁと思います。
黄色い木材ゾーンを彫っても、緑色の竹材ゾーンも彫らなければいけないのか…苦行にもほどがあるぞ。
この作品を版画で模倣せよ、という指示がでたら、なにか発心しそうですね。
何事も辛抱が肝要よ。
さて北斎に導かれてなかなか良い出会いがありましたので、それは次回に。
ヒント:ここはどこでしょう?
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[開設コース:中学受験部(小学生)/高校受験部(中学生)/進学個別アイウィル] 志學舎 豊田教室 教室長 西尾宣昭
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