こんにちは。
東進多摩センター駅前校校舎長兼志學舎多摩センター教室副教室長の福岡広徳です。

前回からの続き

東京理科大　経営学部ビジネスエコノミクス学科
　　　菅原慎矢准教授インタビュー

■介護レセプトなどの介護分野のビッグデータ分析

菅原准教授が専門とする介護分野の中でも、「介護費用の実態把握」の内容についてこう説明する。

「ここで取り扱ったのはレセプトデータといわれるものです。いわゆるレシートのデータですね。レシートですから、何をいくらで、どの会社から買ったかがまとまっています。そのデータを使って研究をするのですが、とにかく情報量が多く、余分な情報が含まれています。ですから、そうした巨大なデータを整理して、情報を圧縮し、小さく見やすい形にしてから、分析することになります」

前述したように、今までのデータとは異なる、これまで使われたことのないタイプのデータを取り扱うことから、まずは統計モデルを作るところから始まったと菅原准教授は話す。

既存の手法をそのまま使うことはできないのだ。

「個人レベルのデータになりますので、500万人のデータが毎月分、そして介護保険が始まってから少なくとも10年ほどのデータが集まっているので、５億を超えるデータを取り扱いました。個人が30種類のサービスをどれくらい使ったか、またその人の健康状態も把握できます。どういう状態の人が、介護サービスのどれを使用し、結果、どういう健康状態になったかというフィードバックもできます。この研究は、すぐに効果の出るものではなく、20年、30年と長く付き合っていかなくてはいけません。時間はかかりますが、今後介護サービスを検証していく上で、この分野にはもう少しお金を使った方がいいとか、減らした方がいいということがわかってくるので、この研究を通していわゆる持続可能な社会制度を作るためのエビデンスを提示することが、可能になります」

続く