高校部(東進)
大学入試の基礎知識①
こんにちは。
東進多摩センター駅前校校舎長兼志學舎多摩センター教室副教室長の福岡広徳です。
3月中旬に国公立大学の後期日程試験が実施され、2022年度大学入試も概ね終了した。
2022年度入試においては、新型コロナウイルスの影響で共通テストを受験できなかった受験生に対しても、個別試験の受験機会が与えられることとなり、各大学で対応がなされた。
対応の方法は大学毎に異なっているため、以前にも増して、受験生による情報収集の必要性が増したといえる。
1.大学のおかれた状況
少子化の影響により、高等学校等の卒業者数は減少傾向にある。
2000年には132万8,940人だった高等学校等卒業者数は、2021年には101万7,097人に減少し、2000年比で76.5%まで減少した。
一方で、大学・短大等の現役進学率は上昇傾向が続いており、2021年は57.5%で過去最高を更新した。
18歳人口は減少したものの、国公立大学や、大都市圏の大規模私立大学の人気は依然として高く、多くの志願者を集めている。
一方で、地方にある中小規模の大学では、「定員割れ」の状態にある大学も少なくない。
つまり、大都市圏の大規模大学に志願者が集中して入学者が定員を超過し、地方の中小規模の大学に志願者が集まらず定員割れとなっている、二極化が進行しているといえる。
こうした状況を是正するために、文部科学省では、2016年度以降、大規模大学の定員超過に対する補助金不交付の措置を段階的に厳格化してきた。
いわゆる「定員管理の厳格化」である。
2015年度までは収容定員8,000人未満の大学で入学定員超過率が1.30倍以上、あるいは8,000人以上の大学で1.20倍以上となった場合に、補助金が受けられなくなっていた。
2018年度以降は、収容定員4,000人以上8,000人未満の大学で入学定員超過率1.20倍以上、収容定員8,000人以上の大学で入学定員超過率1.10倍以上となった場合に、補助金が受けられなくなる。
さらに、2018年5月には、東京23区の大学の定員増を原則10年間禁じる地域大学振興法が成立し、2028年3月末までの10年間は定員の増加が禁じられた。
日本私立大学振興・共済事業団の調査をみると、定員割れとなった私立大学の割合は、ピーク時には、47.1%であったが、2017年以降徐々に減少し、2020年には31.0%となっていた。
しかし2021年度は、新型コロナウイルスの影響によって46.4%となり、ピーク時に近い数値となっている。
入学定員充足率の地域別(学部所在地別)の推移をみると、2016年度から2020年度にかけて、大都市圏への集中はある程度緩和されている。
2021年度は新型コロナウイルスの影響により、地域を問わず、全体的に大きく下降した。
また、私立大学は入学辞退者が出ることを見越して合格者を多めに出していたが、2018年度以降は入学者数が入学定員の1.10倍を超過しないよう合格者数を減少させたこともあり、大都市圏の大規模大学を中心に入試が難化した。
現在、私立大学の46.4%は定員割れをしており、こうした状態が続くと、大学の主な収入源である授業料収入が減少してしまい、大学の経営が立ち行かなくなってしまう場合も出てくる。
最悪の場合、学生募集停止から大学の閉鎖(廃校)という事態になりかねない。
2021年度には803校と過去最高の大学数になっているが、18歳人口の減少は今後も継続するので、大学の淘汰は避けられないだろう。
東進進学情報より抜粋
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