コラム
富嶽百景 番外編①
こんにちは。志學舎本部の岩田です。
6月19日の桜桃忌(おうとうき:太宰治の命日)にちなんで、前回は太宰の作品「富嶽百景」(ふがくひゃっけい)を取り上げました。
「富嶽百景」で有名なのが、太宰が作中で師匠の作家・井伏鱒二が三つ峠(みつとうげ)山に登った際に放屁(ほうひ=おなら)をした、と記述したことをめぐって、井伏は「していない」、太宰は「確かにした」と、言い争いになった、いわゆる放屁(ほうひ)論争でした。
そして、「富嶽百景」といえば、もう一つ有名なのが、作中のこのフレーズではないでしょうか。
「富士には、月見草がよく似合う。」
月見草(つきみそう)とは、夏の夕方から夜にかけて一晩だけ咲く白色あるいは薄いピンク色の花。しかし、このフレーズが出てくる少し前には「私の目には、いま、ちらとひとめ見た黄金色の月見草の花ひとつ、花弁もあざやかに消えず残った。」と記されているので、実際に太宰が見たのは、黄色い花を咲かせる「大待宵草」(おおまつよいぐさ)だと言われています。夕方に花が咲き始め、一晩中咲いて、朝方に萎(しぼ)みます。
これが大待宵草。国分寺駅前の殿ヶ谷戸(とのがやと)庭園で先日撮ってきました。すでに朝方だったため、花も萎(しお)れ始めていましたが、たくさんの花をつけていました。
改めて原作を引用すると、
「三七七八メートルの富士の山と、立派に相対峙(あいたいじ)し、みじんもゆるがず、なんと言うのか、金剛力草とでも言いたいくらい、けなげにすっくと立っていたあの月見草は、よかった。富士には、月見草がよく似合う。」
雄大な富士山と路傍に咲く月見草の対比。実に鮮やかな描写です。
おやっ?みなさんがご存じの富士山の標高(3776m)とは数字が違っていますね?
この続きはまた今度。
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